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さときびです
2022年の政府の政策の一環として「デジタル化推進」があります。このなかの一つとして従業員の給与のデジタル払いです。現在は基本的に給与は銀行振込または現金手渡しが多いと思います。基本的に銀行振込が大半です。これにデジタル払いを追加することが2023年の春頃から開始となります。今回はその点に関して金融機関の影響を書いてみたいと思います。
さきほども記載しましたが基本的に銀行振込または現金手渡しとお伝えしました。銀行振込が当たり前のように感じますが意外と知られていないのが現金手渡しが原則で銀行振込が例外となっています。
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定期日を定めて支払わなければならない。
労働基準法24条
労働者の同意があった場合は、金融機関への振込が可能となります。これに関しては暗黙の了解で金融機関の振込が原則になっているところはあります。実際、給与振込先の指定などの用紙を提出した時点で同意をとっているところはあります。一昔前は現金でもらったほうが労働の対価としてのありがたみを感じることが多いということで社長などが現金手渡しにしている会社もあります。実際のところ、こちらのほうが正しいことになります。
労働基準法の成立してからだいぶ時が経ちますが成立時点ではまだ金融機関の今のように安定はしておらず確実に本人の手元にお金が届かないと生活の基礎が成り立たないという理由で現金手渡しが原則となっています。
しかし、金融機関も一部では不具合が発生することはありますがほぼ稀な事象くらい金融機関が安定してきたので金融機関への振込が原則という捉え方になってきました。
デジタル払いとは、資金移動業者のアカウントを利用して支払われるシステムのことです。
資金移動業者とは、銀行以外の送金サービスを担う登録業者のことです。
例えば、PayPayやLINEPayなどがよく知られています。
根拠の法律は資金決済法で認められた事業者となります。
2022年8月末現在で85の登録事業者が存在しています。
導入のきっかけは労働人口の減少や少子高齢化による社会情勢の変化によるものがります。外国人労働者を雇用する際に金融機関の開設などに時間を要することや昨今のキャッシュレス決済の促進による決済インフラの整備と拡充により今回のデジタル払いの導入に至っています。
普段からキャッシュレス決済をしているひとによってはチャージの手間が省かれ使い勝手の良いものとなります。
各事業者ごとに振り替えできる金融機関に違いがあり、資金移動する手間が省かれ利便性の向上につながります。
導入にするに至った理由の一つとして外国人労働者が上がります。銀行口座を開設しなくても給与の受け取りが可能になります。また、給与は毎月払いが原則ですが振り込みの利便性を用いて日払いや週払いなどが容易になり日雇労働者など銀行口座を都合により持てないひとにも活用するメリットがあります。
外国人労働者が日本に出稼ぎに入国している場合に本国のご家族に送金する場合にもデジタル払いだとこの点が容易となります。金融機関からの海外送金の場合は手続きに時間を要することがあります。
海外諸外国ではデジタル払いが発達していますが日本国内ではここ数年でデジタル払いが発達した経緯があります。このため、資金移動業者の利便性は享受できていますが安全、安心面という点ではまだ疑義が残っています。各金融機関が破綻した場合には元本1,000万円と利息は補償することが法律で規定されており金融資産の保護がされています。この点、資金移動業者に関しては補償や経営破綻した場合などの法整備がいまだ行き届いていないです。別途、法改正が急務の課題となります。この部分がクリアにならないと実際に選択肢として増えても使えるかどうかの問題になります。
一部の資金移動業者では公共料金の支払いなどに対応していますが銀行の口座引き落としに比べれば対応しているものが少ないのが現状です。また、一度チャージなどしてしまうと現金化できないものもあり容易に引き出すことができないこともあります。キャッシュレス化が進んだとはいえ現金支払いのみ対応や家賃振込なども全てのシーンで網羅性があるかという課題になります。
現在、資金移動業者の振込上限が100万円までとなっておりこれを超過する部分に関しては通常の金融機関への振込が必要となります。
今回はデジタル払いに伴い金融機関への影響としてまとめてみました。結論、金融機関への影響はほぼないといっても良いでしょう。メリットやデメリットを上げましたがこれ以外にも従業員の各アカウントIDなどの取得や支払い方法変更に伴う各種手続きにも時間を要することになります。給与計算ソフトのベンダー側に関しては給与振り込みのデータなどの自動生成機能の改修作業など会社側とベンダー側、ともに課題は多いです。
実際、デジタル払いの選択肢が増えただけでどこまで実施されるのかは疑義が多いところです。
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